大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和22(れ)320 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人A農業会、同B上告趣意第一点について。

しかし、原判決の確定した事実は被告人が犯意を継続して、昭和二二年四月一四

日頃及び同月三〇日頃の二回に亘り、判示青果物夏密柑を同二一年七月二九日附静

岡県告示第三四六号指定の生産者消費地渡統制価格を超過した代金を以て販売した

旨の物価統制令違反の犯罪事実であつて、青果物統制令違反の犯罪事実ではない。

従つてこれに対し刑法第五五条物価統制令第三条第四条第三三条第三六条(昭和二

二年四月一五日改正前の第三五条に該当する)を適用し、所論青果物統制令を適用

しなかつたことは正当である。又物価統制令は所論のごとく「ポツダム宣言の受諾

に伴い発する命令に関する件(勅令)に基くものであるが該勅令自体は刑罰法規で

もなく又物価統制令の内容をなすものではない。有罪判決の言渡に際し示すべき法

令の適用については、その適用すべき法令自体を判示するを以て足り、その法令の

よつて生じた根拠法規である所論勅令までをも判示する必要はないと言うべきであ

る。それ故論旨は採ることを得ない。

同第二点について。

原審の本件に適用した昭和二一年七月二九日静岡県告示第三四六号の基ずく同日

大蔵大臣指定告示第五八一号が同二二年物価庁告示第二二九号によつて同年一〇月

二二日から廃止され、従つて本件青果物夏密柑については同日以後統制価格の指定

なき、状態になつたことは所論のとおりである。しかし一旦成立した物価統制令違

反罪の処罰がかかる爾後における告示の廃止によつて左右される筋合のものでない

と解すべきことは当裁判所昭和二三年(れ)第八〇〇号同二五年一〇月一一日大法

廷判決に示すとおりであるから論旨はとるをえない。

- 1 -

よつて旧刑訴四四六条に従い論旨第二点につき真野裁判官の反対意見(前掲判決

参照)を除くの外裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

検察官橋本乾三関与

昭和二五年一一月一六日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真野毅は出張中であるから署名押印がで

きない。

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!